就職活動のおそろしさ。

・神経を使う、エントリーシート。

・突然の、グループディスカッション。

・偉い方々に囲まれる、役員面接。

就職活動でこわいものを挙げてみた。どれも、こわい。

エントリーシートは最初の関門でここで半数以上が落ちる場合が多いから、かなり神経を使う。誤字脱字は論外。余計な一文があるためにうっかり爆弾を踏んでしまうこともある。爾来をふまないように注意深くゆっくりと、なおかつ「僕ってこういう使える奴なの」などとアピールしなければ、上から銃撃乱射され、死。まぁ、つまり落ちるんです。

「はい、説明会は以上になります・・・これからグループディスカッションをやるので・・・」と説明会後突然にはじまるこのドッキリ的なイベントもかなりこわいもの。ディスカッションのテーマは説明会での話に関連したものが多いから、適当に聞き流していたりすると、痛い目にあう。「選考には関係ないですから」といいながら、なにやら用紙にチェックを入れている。一時代前のどっきり的血筋でも残ってるんだろうか。

役員面接。それは一次面接などとは次元の違う輩が集まってくる、最終ボスステージ。ドアを開ければすぐに感じ取れる、この重々しいオーラ。和やかさを演じながら、目がマジ。マジに鋭い。全員幹部レベルであることが多く、うっかり変なことをしゃべったら、即おじゃんである。水の泡、泡。

でも、と思う。就職活動でもっとも恐ろしいものを僕はまだ言っていない。

見えないところにある、見えない戦い―水面下でそれは起こっている。

                             

説明会を終え、面接を終えた就活生は、個々に、もしくは、仲良くなった者同士しゃべりながら、電車に乗り、帰っていく。

A:「おつかれさまです、さっきはどうも」

B:「いえ、僕もよくやってしまいますから・・・面接、どうでした?」

A:「うーん、微妙ですねぇ、ちょっとやってしまいました。あんなこと聞かれるなんて思わなかったもので」

B:「ほんとですよねー・・・あっここの駅です。」

A:「そうですか、じゃ、おつかれさまです」

B:「おつかれさまです。」

電車の中で、あなたはこんな会話を耳にしたことがあるだろうと思う。「就職活動」があなたの頭の中で点滅して、「あぁ、この子たち、就活してるんだわねぇ」などと思い、自分のその頃を思い出したりなんかして、「お疲れ様です」などと心の中で唱えたりしたこともあるかもしれない。

                           

しかし戦いはまだ終わっていない。

A君は家に帰ると就活生はごはんを食べるでもなく、お風呂に入るでもなく、自分の部屋にむかう。そして机にあるパソコンのスイッチを入れる。ウィィンという音。黒い画面を前にしてA君は早くしてくれと思う。

ようやく立ち上がり、エクスプローラーをダブルクリック。お気に入りから「リク○ート」などの就活サイトに入る。パスワードをマシンガンのごとくたたき打つ。

ブックマークの「お気に入り企業」のページに入る。ある企業名のところで目をとめて、すばやく「説明会予約」をクリックする。現れた小さなウィンドウを拡大し、右のバーをスクロールさせて、みると・・・

「6月○○日―14:00~―満員」

あー駄目だ。またやっちまった。Aは肩を落とす。

―なんで、こう、みんな早いんだろうなぁ。

午後の説明会の前に携帯に「○○社 追加説明会開催決定の知らせ」というメールが入っていたのだ。○○社は前々から気になっていた企業で、説明会は既に終わってしまっていたから、Aはよっしゃ!と思った・・・のだ。

あーあぁ。こんなことなら、とっとと帰っていればよかったなぁ。Aは、Bとのんびり話しながら駅に向かったのを少し悔やんだ。

―終わってすぐネットカフェにでもいくべきだったなぁ・・

                                  

携帯電話が震えて、着信を知らせる。通話ボタンを押して出ると、母さんからだった。「あっ、さっきも電話したのよ。さっさと出なさいよ。荷物は届いたの?」こんな話をぐだぐだと続ける。少しやかましくなってきたところで、「じゃあ今忙しいから」とA君は適当に切る。機嫌の悪さは隠しようがない。

さてと・・・。他の企業の説明会予約ページを確認する。あーどこも駄目だ。いっぱいだ。欠員待ちみたいなのできたらいいのになぁ、とつくづく思う。

駄目で元々と、さっきのページに戻ってきて「更新ボタン」を押した。

すると、「6月○○日―空き」の表示。

―やった!ついてるなぁ。

日時の欄をクリックして、一番下にある送信ボタンを押そうとして、ふと、「あれ、そういえば、この日ってなんか他の説明会入ってなかったっけ」と思い、手帳を取り出して確認する。6月○○日・・・よし!大丈夫!午後は予定なし!

改めて送信ボタンを押す。

                               

とたんに、赤い文字が画面の上に現れて、Aは愕然とする。

「6月○○日―14:00~―満員です」

Aは手帳を投げ捨ててうなだれる。こんなことって、あるだろうか。

ほんの二十秒かそこらだった。目の前でかっさわれた。なんてこった。

Aの目に、暗い部屋の中で何度も「更新ボタン」をクリックしている男の姿が浮かんだ。まるで・・・ハイエナだ。

続けて「更新ボタン」を連打する。・・・もう、「満員」の表示は変わらない。奴はがっちりとキープしたのだ。

Aは、うすっぺらなこのパソコンがジャングルに通じているような気がした。

この日Aは、就職活動のもうひとつの恐ろしさを知った。

                           

・・・もちろんAとは僕のことです(笑)。

(ちなみに、このあと僕は携帯で説明会の予約ができることを知りました(苦笑))

| | コメント (40) | トラックバック (0)

«パソコンで書く、手で書く